拙僧は、当寺の住職で「雑賀」と申す。
 檀家衆は、影で「うんちく坊主」などと呼んでおるよ
うじゃが、「うんちく」大いに結構。「説法」の「法」
とは物事の成り立ちのことであり、つまり説法とは、な
ぜこうするのか、どのような考え方でこうなったか、と
いうことをきちんと説明することなのじゃ。物事や言葉
の成り立ちを伝えることは、とても大切なことだと思わ
んか? うん? そうか! お主も賛同してくれるか!
では、早速お主にも、うんちく説法を聞かせてやろう。
 何? 「今日は忙しいからまたの機会に」じゃと!
許さ〜ん! 黙ってそこに座れ! ええぃ、じたばたす
るでない。 喝〜っ!


指切りげんまん 『その日』から読む本 足を洗う ドジを踏む なぜ人は泣くのか? 基盤の「くちなし」「血だまり」

「お愛想」は払ってはダメ 踊り場 馬鈴薯 虫歯は親からの伝染病


約束する時に「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます」・・・皆、普通に言っておるな。
江戸時代の頃、遊郭の遊女は惚れた客に心の操(みさお)を誓う証として、刺青を彫ったり、
小指の間接から上を切って桐箱に納めて渡しておったそうじゃ。なんとも痛そうな義理立てじ
ゃが、「指切りげんまん」とは、文字どおり指を切ってでも約束を守る、それが破られたら「
拳万(げんまん)」、つまり拳固で万回殴るということじゃ。その上、針千本飲ませようとい
うのじゃから、いやはや恐ろしい歌じゃな。まぁ、ホレたハレたの色恋沙汰は、今の世でも変
わりはないが、こうまでして惚れた男に心を尽くしたのに、裏切られた時の遊女の心情を思う
と、なんとも不憫じゃの。お主も、軽々しく約束なぞするものではないぞ。
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お主、宝くじは好きか? 先日高額の当選金が入った檀家から、「『その日』から読む本」と
いう冊子を見せて貰っての。一千万円以上の宝くじが当たった場合、身分証明書、印鑑などを
持参して、みずほ銀行へ当選金を受け取りにいくのじゃが、このとき全員にこの冊子が渡され
るそうじゃ。賞金が高額化して突然億万長者になる者が増えたため、「心の持ち方や当選金の
使い方、運用について」アドバイスするためのハンドブックを作っておるわけじゃな。内容は
当選後にやるべきことを順に説明して、ローン、借金の返済を優先することや、当選を知らせ
る人のリストアップをすることもすすめておるな。心理面については「まず落ち着くこと」が
大事として、「興奮の後の不安は、以前の自分に戻るための通過点」などと書いてあったが、
弁護士や臨床心理士らの意見も参考にしてあって、実用性は充分な物じゃった。
まぁ、その檀家も心を落ち着かせるために、拙僧に相談しに来たようなものじゃがの。
この冊子を読むだけでも、高額当選が実現できた気になるのではないかの? 善哉、善哉。
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やくざな世界から堅気になる、などというときに「足を洗う」という表現があるな。この言葉
は、もとは仏教から発したものなのじゃ。
仏教発祥の地インドでは、僧侶が托鉢をする際は、街の中を裸足で歩いておった。寺に帰ると
まず汚れた足を洗い清めて寺に入り、1日の行を終えるというのが習慣だったのじゃ。つまり
足を洗うということは、俗世間の汚れをさっぱりと落とし、身も心もきれいになることを意味
しておる。
また、江戸時代、遊女の年季があけるとき、足洗井戸と呼ばれる井戸で足を洗ったという俗信
があるのじゃ。
そんなところから、悪い仕事をやめて出直すという、今のような意味合いを持つ使われ方をす
るようになったのじゃろう。
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「ドジを踏む」とは失敗するという意味じゃな。ここから失敗ばかりしておる者をドジと呼ぶ
ようになったのじゃが、その語源は諸説あっての。
まず最初は「相撲起源説」じゃ。ドジは「土地」と書き、土俵外のことを意味しておる。つま
り「負け」ということじゃな。ここから「失敗する」の意味が生じたという説じゃ。
もうひとつは「警察の隠語説」じゃ。こちらは「土地」に加えて「泥地」の字をあてる。泥や
土を踏めば足跡がつくじゃろ。足跡は犯罪捜査の重要な手がかりじゃから、ここからミスを犯
すことをドジと呼ぶようになったという説じゃな。
ドジを「鈍遅」と書くという説もある。こっちは文字の意味そのままで、動作が鈍くて遅れて
おる者をさした言葉じゃ。転じて失敗ばかりしておる者をドジと表現するようになったといわ
れておる。
まぁ、悪気のない失敗は愛嬌のうちかも知れんが、お主も気をつけなされ。
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大人になるにつれ、子供の頃には簡単にこぼれておった涙もなかなか出なくなってしまうもの
じゃ。大人になると多少のことでは簡単に泣くことはできまいが、それでもここぞというとき
には涙が出るものじゃ。年をとると涙もろくなるともいうがの。
ではなぜ人が泣くかというとじゃな、「泣く」という行為は、心身に悪影響をおよぼすストレ
スを軽減するために人体が用意した緊急行動のひとつなのじゃ。
泣くということは感情の抑制を外して解放することで、笑いがストレス解消になるのと同様に
泣くことも心理的な重圧から精神を守る働きをしておるのじゃな。
もうひとつは、人体の機能的な作用じゃ。涙のなかには「ロイシン・エンケファリン」という
物質が含まれておって、これが涙管や鼻粘膜から吸収されることで脳に伝わってじゃな、結果
として苦痛や悲しみによって引き起こされる心身のダメージを和らげておるのじゃよ。
無理に泣くのをこらえてストレスを溜めずに、時には大泣きして涙の効用を使うべきじゃな。
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最近は、マンガの影響で子供たちにも「囲碁」が人気じゃそうな。しかし、この歴史ある「囲
碁」に恐ろしいルールやしきたりがあるのを子供たちは知っておるのかの?
たとえば基盤の下の四本の脚じゃ。この脚の先端はクチナシの実に似せておる。これは、江戸
時代の武士同士の対局なぞでは、盤をはさんだときは無言、つまり「口なし」で戦うという意
味と、周りの人間が真剣勝負に口を挟まないよう、「四方口無し」という戒めを意味しておる
のじゃ。対局中は「誰も口を出すな」というのは絶対で、口を出すとその場で首を切られても
やむなしという暗黙のルールがあったといわれておる。
また基盤は上から見ると正方形ではなく縦方向に長い長方形をしておるが、これは敵同士が膝
を近くに接しないためじゃという。
さらに、基盤の裏にある浅い窪みには「血だまり」という恐ろしい名前がついており、対局中
に不正をした場合や周りが口出しした場合は、首を刎(は)ねてそこに乗せるという覚悟を表
したものじゃそうな。いやはや何とも、真剣勝負の厳しさを伝えるものじゃの。
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居酒屋なんぞに飲みに行ってお勘定を払うときによく使われる「お愛想」という言葉があるじ
ゃろう。しかし、この言葉、本来のしきたりからいえば、店側にとっては失礼千万な言い方な
のじゃぞ。
昔は常連になると飲み代は一度に全額置いていくのではなく、毎回一割ぐらいはツケとして勘
定を残しておくのが粋な飲み方とされておった。ツケを払い切ってしまうというのは、その店
と縁を切って二度と来ないことを意味しておったのじゃ。じゃから「お愛想」といえば、「愛
想が尽きたから、ツケを全部払って、もう二度と来ないぞ」という意味なのじゃ。
まぁ、今では客も店側もニコニコと「お愛想」のやりとりをしておるのじゃから、勘定を払お
うとして、店のアルバイトの娘さんから「○番のお客様、お愛想でーす」なぞといわれて「も
う来るな、という意味か?」などと怒ってもせんないことじゃな。
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階段の途中にある折れ曲がった場所を「踊り場」というが、何故だか知っておるか?
踊り場つきの階段は、明治時代に西洋建築とともに日本に伝わったものじゃ。それまでの日本
の階段といえば、神社や寺に見られる、まっすぐな階段か梯子(はしご)段ばかりじゃった。
初めて踊り場つきの階段を見た日本人は途中で折れ曲がっていることにさぞ驚いたことじゃろ
う。「鹿鳴館(ろくめいかん)」という建物を知っておるか? 明治16年(1883)に、
当時の価値で40億円もの巨額を投じて建てられた西洋社交クラブ、つまり西洋風の衣装を着
飾った貴族と呼ばれた紳士、淑女がこぞって集ったダンスホールじゃな。この舞踏会に訪れた
ドレスを着た貴婦人たちが階段を上り下りするときに、階段が折れ曲る部分では、体をくるっ
と回転させることになるわけじゃ。その回転してドレスがふわっと揺れる様が、まるで踊って
いるように見えるということで、いつしか「踊り場」と呼ばれるようになったわけじゃな。
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薯とはイモ。馬鈴とは文字どおりの鈴のことでクマよけのために馬に付けた鈴をさしておる。
その昔、群馬県の長野原地方でジャガイモの生産が盛んになって、収穫すると馬の背に振り分
けにして運び、高崎、前橋方面に出荷していたそうじゃ。じゃが山道も多く、途中でクマに襲
われたら大変だということでな、馬の首に鈴をつけてクマよけにしたのじゃ。そこからジャガ
イモは馬鈴薯と呼ばれるようになったそうじゃ。
もう一つ、下世話な説としてはの、ジャガイモの根茎が馬の睾丸に似ているというのでこの名
が付いたともいわれておる。睾丸をズバリのそのままではなく、「鈴」と言い換えたところが
なんとも珍妙じゃな。
ジャガイモの語源じゃが、ジャガイモ自体は南米原産の野菜でスペイン人がヨーロッパに持込
み、16世紀頃に日本に伝わったそうじゃ。その頃ポルトガル人が東洋貿易の拠点としておっ
たのがジャカルタで、ヨーロッパではなまってジャカタラと呼んでおった。そのジャカタラか
ら来たイモということでジャガタライモ、ジャガイモとなったのじゃ。
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なんじゃ? 頬に手を当てて難しい顔をして? 虫歯が疼いて痛いとな? ハハハ、大変じゃ
な。いや笑ってすまなんだが、虫歯があるということはお主が幼少の頃より、親御さん達から
愛されておった印みたいなものじゃ。
虫歯をつくるのは口内にあるミュータンス菌という菌が原因なのじゃが、子供の口内にはもと
もとこの菌は居らんでな、幼児期に親からのキスや食べ物の口移しで伝染するものなのじゃ。
じゃから、4〜5歳くらいまでにミュータンス菌に感染せんかったら、死ぬまでほとんど虫歯
にはならんのじゃそうな。
歯磨きをあまりまめにやらんでも虫歯にならん者は、この菌が口内に存在せんことが多いそう
じゃ。
何? こんなに痛い思いをするなら、愛されぬ方がよかったじゃと? ぶぁかも〜ん! お主
のような不心得者は歯磨きを怠けておった口じゃろうが! 喝〜っ!
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